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ひかるの

Author:ひかるの
25年間、ネパール、インド、タイと 
うろうろ歩き回っています。
アジアの工芸、人々の生活を 眼で、
身体で確かめ、伝えていきます。

** 格安にて カトマンズ案内致します **

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アジアの街角 1枚の写真から‐50 リンブー族の老人
アジアの街角 1枚の写真から‐50 リンブー族の老人

 カトマンズにいるときには 午前中 カトマンズのバグマティ川に沿って、
 散歩することが日課のようになっていた。
 パタン側のバグマティ川の河川敷を利用して造った広場の横に 
 公園というにはあまりに貧弱な公園があり、休日になると近所の子供たちが
 戯れていたり、大人たちがバトミントンのゲームを楽しんでいたりする。
 その公園の中に入っていくと、3歳ぐらいの幼児を抱きかかえた一人の老人に出会った。
 その老人の歳はといえば、65歳前後と思えた。
 眼が合ったので挨拶を交わし、少し話をしてみることにした。
 顔つきを見ると、ネワール族かと思ったが、尋ねてみると
 リンブー族ということだった。

 ネパールでライ・リンブー族といえば、ネパールでは最も古い先住民族といわれ、
 彼らのことをキラティとも呼んでいる。
 今から2千年以上も昔に このカトマンズ盆地に 最初に王国を創り、
 その王国の名前はキラティ王国と呼ばれているが、
 そのあとに現れるリッチャビ王国との戦いに敗れたのか、
 今では、ネパールの東の山岳部にからダージリン、シッキムあたりに
 多く見られる民族である。
 彼らの信仰もキラティと呼ばれる土着信仰で、その祭儀の際には、飼っている豚を
 彼らの神様に捧げる。
 仏教、ヒンズー教が主流のネパールにあって、独自の土着宗教を守り続けているのは
 さすがである。
 民族の誇りがそうさせるのであろうか。
 織物、刺繍の技術にも優れ、非常に集中力に優れる民族でもある。
 ライ族もリンブー族も多くの部族から成り立ち、各部族の持つ言語は微妙に異なり、
 部族が異なれば、言葉が通じないこともあるという。

 ライ・リンブー族で忘れてはならないことは、
 イギリスの傭兵 グルカ兵としての彼らの役割である。
 今から150年前のネパール・イギリス戦争でネパール軍の勇猛さを見せ付けられた
 イギリス政府は ラナ家専制時代にネパール軍兵士をイギリス軍の傭兵として
 雇い入れるようになる。
 数ある民族の中で選ばれた民族が ライ・リンブー族、グルン族、マガール族である。
 彼らは命令に忠実で死を恐れない。
 第2次世界大戦の際、ビルマからインドに向かう日本軍をインパールで苦しめたのも
 このイギリス傭兵のグルカ兵である。

 ネパールの貧しい山岳民族にとっては唯一の収入の道が グルカ兵という職業だった。
 ラナ家はネパール兵士をイギリスの傭兵として売り渡すことで、莫大な収入を得たが、
 イギリス軍の前線に立ち、一体どれだけのグルカ兵が命を落としたのか計り知れない。
 給与も正規のイギリス兵に比べ、はるかに低く、戦死してもその保障はイギリス兵に
 比べれば微々たるものであったらしい。
 それでも、ネパールに住むよりははるかに収入は良かったが、
 それはいつも死との隣りあわせだった。
 第1次世界大戦、第2次世界大戦では ネパールのグルカ兵の戦死者が多く出て、
 時の政府は、グルカ兵をイギリスに送り込むのに四苦八苦したらしい。

 この老人のふるさとは ダージリンと接するインド・ネパール国境地域メチ地方であり、
 イラムというネパールのお茶の産地である。
 彼の息子二人もグルカ兵であり、娘も元グルカ兵に嫁ぎ、香港で暮らしている。
 彼の生活費は 息子たちからの仕送りのようだ。
 抱きかかえていた幼児は 彼の孫だと思っていたら、後日、彼の息子であることが
 わかった。
 老いてもますます盛んな老人だった。
 しかし、彼の顔つきは、キラティ王国の末裔らしく、なかなか、威厳はあった。


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アジアの街角 1枚の写真から | 02:07:28 | Trackback(0) | Comments(0)
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