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ひかるの

Author:ひかるの
25年間、ネパール、インド、タイと 
うろうろ歩き回っています。
アジアの工芸、人々の生活を 眼で、
身体で確かめ、伝えていきます。

** 格安にて カトマンズ案内致します **

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ネパール キルティプールへのいざない‐3 女たち
キルティプールへのいざない‐3 女たち 1

キルティプールへのいざない‐3 女たち 2

キルティプールへのいざない‐3 女たち 3

キルティプールへのいざない‐3 女たち 4
キルティプールへのいざない‐3 女たち 5

キルティプールへのいざない‐3 女たち 6


 街の中心に向かって、再び歩みを進めると、かったんかったんと、リズミカルな音が
 聞こえてくる。
 機織の音だ。そうだった。この街は機織の街でもあったのだ。
 建物の陽の射す明るい一角で 女が 布を織っている。
 昔は、この街では至るところで機織の音が聞こえたものだ。
 今はその音も少なくなったようだ。そのすぐ近くに絨毯工房がある。
 そこでも女たちは、働いている。昔は、街の中にはこんなものはなかった。
 布を織るより、絨毯を紡ぐほうが、実入りがいいのであろうか。
 織られているのは、チベッタン絨毯であるが、模様は伝統的なチベット模様でなく、
 モダンなもので、外国からの注文のようだ。

 キルティプールのネワールの女たちはよく働く。
 特にマハルザン(ネワールの農民カースト)の女はたくましくそして明るい。
 農作業をし、家の中の仕事をし、ロキシーという酒を造り、布を織り、絨毯をつむぐ。
 何かにつけて行事の多いネワールの社会、怠け者の男を尻目に、料理を作り、家を整え、
 客を迎える。
 男たちは、ただただ、飲んで歌って騒ぐだけである。
 
 女たちが、家の前の軒下に座り込んで、おしゃべりをしている。
 朝の農作業を終えて、体を休めている女たちだ、彼らは、物怖じしない。
 底抜けに明るく、たくましいマハルザンの女たちだ。
  「今は、田んぼの雑草取りで 大変だろう」と尋ねると
  「そうだ」と答える。
 皆、堂々としている。かといって威圧的ではない。
 これが、ネワールのマハルザンのよさだ。
 男とも対等に冗談を言い合えるほど、開放的なところもある。
 年老いた一人の女が
  「少しぐらいだったら、英語を話せるぞ。孫が学校で習ってくるからさ。
   日本語は駄目だけどさ。」
 と言って、大笑いをしている。
 
 話が酒の話に移る。
 私が、
 「ネワールのチャン(どぶろく)に黒い米で造るチャンがあるだろう。あれは本当に美味しいな。」
 と言うと、年老いた女は答える。
 「あれは、造るのになかなか手間がかかる。黒い米も少ししか取れないしな。
  おらは、自分で造れるぞ。この頃の若い連中は、駄目だけどな。」
 近くにいた若い女たち、「おらたちは、造り方は、しんねえ。」と笑っている。
 親しくなると、そんな話をすると、その幻のチャンを運んでくるのだが、
 そこまで親しくないので、期待できない。

 13世紀から18世紀までカトマンズ盆地で 豊穣なマッラ王朝を栄えさせた末裔で
 ある彼ら、性格の一端にその時代のおおらかさを感じさせる。
 そんなことを感じさせてくれるのは、今はキルティプールだけかもしれない。

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ネパール キルティプール | 20:25:01 | Trackback(0) | Comments(0)
ネパール キルティプールへのいざない‐2 街の中へ
街の中へ 1

街の中へ 2

街の中へ 3

街の中へ 4


 キルティプールに街へと続く石段の前に立つと、20年前の記憶が、まるで昨日のことのように
 蘇ってくる。
 20年前のキルティプールの女たちは,黄銅で造られた甕を腰の脇にかかえて、
 朝夕と、石段脇にある共同水場で水を汲んでは、この階段を行き来したものだ。
 丘の上にあるキルティプールの街は、いつも水に苦しんできた。苦しみも日々の営みとなれば、
 和らぐ。
 その石段を私も 20年振りに登り始める。20年前には、息を切らすこともなく、
 上り下りしていたこの石段も、今の私には、何度も足を止めて、息を整えずには、
 足を進めることは出来ない。
 後ろを振り向くと、カトマンズの町並みが広がる。
 家、家、家、余すところなく家に埋まってしまったカトマンズ、昔の面影はない。
 車の排気ガス、交通渋滞、見る影も無い。
 もうカトマンズは、もう人々に安らぎを与える場所ではないのだ。
 人々は、生活に追われ、ある者は富を追いかけ、人のことなど省みず、土地を買いあさり、
 投資に精を出す。
 ある者は、貧しさゆえに、恥を感じ、自らを失ってしまう。
 そんなことを思いながら、ゆっくりと、歩を進めていくと、
 やっとキルティプールの街の入り口である門に辿り着く。
 
 この門を超えてしまうと、一瞬のうちに 時の流れは緩やかになる。
 2,3歳の女の子の手首に白い紐を結び、そこから1メートルばかり延びた紐の先を掴んだ
 父親らしき男が、女の子を連れて門を超えて、下の街に下っていく。
 祖母らしい女が、門の内側から、
  「この子は、いつもどこかへ行ってしまうのだから、しっかり紐を握っていなさいよ。」
 と男に声をかける。
 神々に護られているこの街の外に出ると、まるで、悪運が女の子に忍び寄ってくるのを
 心配するように。

 いよいよ、街中に入っていくと、街の憩いの場所である広場に出る。
 そこの片隅に男たちが、かたまっている。トランプ賭博に興じているのである。
 朝の仕事を終えた農民たち、今日は 仕事のない大工、左官、
 彼らは、20年前と少しも変わらない姿で、けだるい午後を過ごしているのである。
 キルティプールは、職人と農民の町なのである。
 酒好きで賭博好きのキルティプールのネワールの男たち、少しずるく、
 すぐにもわかる嘘をつく男たち、それでも愛すべき者達なのである。

 狐の嫁入りのような天気雨をやり過ごすために 広場のなかにある小さな集会場の片隅に
 座り込んでいると、私の顔を、確かめるように通り過ぎていく男がいる。
 まるで自分の記憶を確かめるように、何度も振り返っては、私の顔を確かめている。
 あの男は、私の住んでいたキルティプールの家に毎日のように遊びにやって来ていた
 ラムの父親だったのだろうか。
 20年の歳月が過ぎ去ってしまうと、人の顔も変わり、ぼんやりとした靄の中に
 かすんでしまう。


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ネパール キルティプール | 07:51:32 | Trackback(0) | Comments(0)